賞味期限

またもや食の安全・安心をおびやかす事件が北海道の企業から出てしまった。
ここ数年だけでも雪印ミートホープ、そして今回は石屋製菓である。
北海道は日本の食料基地としての地位を固めつつある中で、このような企業が北海道から出現したのは極めて残念である。
北海道ブランドにかげりがみえなければ良いなと思うが、経営者の食の安全・安心に対する意識の欠如には目を覆いたなるばかりである。危機意識が全くなかったのではないかと言わざるを得ない。
賞味期限の付け替えは食品業界の中では日常茶飯事なのかもしれないが、消費者が食の安全・安心に対して従来にも増して敏感になっていることは百も承知なはずなのになぜと言わざるを得ない。

石屋製菓は年間2億枚の「白い恋人」を製造し、売上高は98億円と道内菓子製造販売の大手の一つで、石水社長は札幌商工会議所の副会頭やコンサドーレ札幌のメインスポンサーをやったり、チョコレートファクトリーの運営等観光推進にも熱心で、北海道の若手経営者のホープの一人として活躍していたので本当に残念である。これまでの経緯をみてみると、5月に偽装を行い、6月には告発メールが会社宛に届いたが、担当役員は対策を取ることなく黙殺し、その後アイスから大腸菌検出、回収、バウムクーヘンから黄色ブドウ球菌検出、保健所への内部告発、発覚へと発展していった。社長自身がすでに10年前からの偽装を認めていたということで経営者としての奢りが招いたものといわざるを得ない。ちょっと天狗になっていたのかもしれない。
この種の事件で大きな人的被害はないといった擁護論もあるようだあるが、人的被害が起きてからでは遅いのである。消費者は目に見えない信頼を求めて、ブランドにカネを払うものである。それに対する裏切り行為への代償はあまりにも大きいことを経営者は肝に銘じてもらいたいものである。
先日「白い恋人」をもらって久しぶりに食べてみたが、個人的にはちょっと甘すぎという感じを抱いていた。
甘いのはお菓子だけにして、会社の体質まで甘くする必要がないのにと思うのだがうまくいかないものである。

ところで、賞味期限というものを調べてみた。賞味期限とは加工食品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・品質が維持されると保証される期限を示す日時であるということである。比較的長期間保存可能なもので菓子類、缶詰、冷凍食品等が該当するらしい。
一方消費期限というのもある。こちらは製造日を含めて5日以内に急速な品質の低下が認められる食品について表示されるもので例えば、肉、魚、牛乳等が該当するらしい。
かつては製造年月日が記載されていたはずであるが、1995年4月に現在の表示に切り替わっている。なぜ切り替わったのかというと、一つには納豆・キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品の場合はいつを製造日とすべきか不明確であるからということらしい。製品を充填した日にするか、出荷する日か、食べ頃になった日か、店頭に並べた日にするか等である。
二つには食のグローバリゼーションにより、賞味期限が一般的な諸外国の表示に合わせようということで、三つ目は牛乳メーカーに対するスーパー側の深夜営業の強制(いわゆるデイゼロ問題)があるとのことである。デイゼロとは深夜0時に生産ラインを動かして当日製造出荷した商品のみを消費者が購入できるようスーパー側が強く要請して、乳業メーカーの従業員の負担の増大を招いたことである。
いずれにしても、賞味期限や消費期限が何日に設定されているのかが消費者がわからないのでちょっと不安だなという感じもする。生協のプライベートブランドについては賞味期限と製造年月日を両方併記しているものもあるとのことである。個人的には製造日から何ヶ月あるいは何日を賞味期限、消費期限としているかパッケージに表示しているといいなとも思います。
ただ、我々消費者もちょっと神経質になっているところもあるのかもしれない。例えば私もスーパーでよく買い物をしますが、日付の新しいものを棚の奥から引っ張り出して買い物をしてしまいますが、あるエコライフを自称している人の話を聞くと、逆になるべく日付の古い食品を買って廃棄する食品を減らすようにしているという人もいます。
消費者も製造者もお互いにエコライフを目指してまじめに安心・安全な食品の提供を願いたいものである。