十勝農業ビジョン

地方の商工業者の衰退は、所得の上からも歴然としてうかがえて残念であると同時に、今後の方策を真剣に考えていかなければならないなという思いを強くします。

 そんな中で農業者の所得水準はおしなべて底堅いというのが実感です。やはり十勝の基幹産業は農業だということは申告書からもうかがうことができます。

 さて、先日新聞に5年後の十勝の農業生産高を2,900億円にしようという記事が掲載されていました。昨年度の生産高が2,525億円ですから約400億円の上乗せを目指しているということで期待が膨らむところです。

 その内訳は耕種が46億円増(3%増)、畜産が実に342億円増(30%増)ということで、畜産の増加期待が大きいのが特徴です。

耕種は、十勝の耕作面積が13万haということで面積が限られているので増産は難しい中で、品種改良、土壌改良等で増産が見込まれ、特に豆類の13%増が目を引きます。
豆類は非常に栄養豊富でポリフェノールも豊富にもかかわらず、日本人の消費は欧米のそれと比べても低調のようで、もっと消費が増えてもいいと思います。
積極的に広報をして豆類の消費アップ策を考える必要があると思います。
特に若い人は豆の煮方がわからないという方が圧倒的に多いようで、ダイエット志向も取り入れていけばもっと消費が伸びると思います。

一方、畜産は生乳が30%増、肉用牛が73%増と規模拡大意欲が高いのが特徴です。生乳は一時生産調整で減産が余儀なくされていましたが、生産者の規模拡大意欲は高いようです。
ただ、生乳、チーズやヨーグルトも欧米に比べると消費量が少ないので、こちらもいかに消費を拡大するかが課題ですね。
特にチーズは、先日十勝産のチーズは航空会社のファーストクラス、ビジネスクラスに採用されたということなので、まだまだ伸びしろが高いような気がします。

問題は、今後、いかに低コストで高品質のものを生産できるかがカギとなり、そのためには経営診断、マーケティングの活用、自給飼料の活用、そして規模拡大を支えるコントラクターやTMRセンターの整備等が課題になってくると思います。

また、観光と農業のタイアップにより、農村に来ていただいて雄大な大地が織りなす景観、そしておいしい空気と水と食事を楽しんでもらえれば、農業そして食を支える北海道に対する理解も進んでいくのではないでしょうか。

我々も微力ながら十勝農業に貢献できればと思っています。