相続税の申告事績について

先日平成18年分の相続税の申告事績について、国税庁から発表があった。
死亡者数は108万人で、うち相続税の課税対象になったのは約4.5万人で、課税割合は4.2%と前年と同様である。つまり、課税対象は100人に4人ということになる。
財産の内訳は、土地が47.8%、現預金が20.6%、一人あたりの平均課税価額は約2.3億円で、一人あたりの税額は約2,700万円でした。
一方、調査事績は調査件数約14,000件、うち申告漏れがあったのは85.8%であった。
実調率は、31%で、つまり3件に1件は調査があるということだ。
課税漏れで多いのは、多額の現金や公社債を自宅等に隠すケースや、預貯金が借名名義であること、そして海外の財産を申告から除外するといったケースなどが見受けられたということである。
先日の新聞等でもご覧になった方がいると思いますが、T社の株式の贈与について、受贈者が制限納税義務者であるかどうかについての判断で、高等裁判所の逆転判決が出ましたが、今後の上告審を注目したいと思います。
ところで、平成19年度の国の歳入は83兆円で、うち税収見込みは53兆円と上場企業の好業績を反映して伸びてきています。そのうち所得税法人税が16兆円、消費税が10兆円に比べると、相続税は1兆5千億円と国の歳入のわずか1.8%とかなりウエイトは低いレベルにあります。
従って、相続税の税収は、消費税の1%あたりの税収が2.5兆円ですから、1%にも満たないことになります。
一方で、相続税の税収を上げるためのコストはかなりかかっているようで、例えば路線価を定めたり、税務署で資産税課の職員を配置したり、我々税理士も相続税の申告にはかなり手数をかけて計算したりしています。
財務省の本音としては、相続税を廃止して、消費税を1%アップしたほうが余程効率よく税収を上げられるのにと思っているはずである。
それができないのは、金持ち優遇だとの批判を浴びるであろうからと推測されるが、私個人的には資産税はおもしろいと感じているし、事務所の収入源の一つにはなっているので致し方ないということであろうか。
ちなみに徴税コストは、国税全体では100円の税収をあげるのに1.6円かかっているようで、相続税はもっと高いであろうなとは推測されます。
非上場株式の80%減や、計算方式が遺産取得税体系に変更される見込みであったり、今後しばらくは相続税から目が離せない状況が続きそうですね。