食糧問題と北海道農業

先日H銀行の調査レポートを読んで考えさせられた。
ミシュランガイド東京」が先日発刊されたが、これによると東京はパリを凌ぎ、世界で最も星付きレストランの多い「美食の都」であるという。三つ星が8軒、二つ星が25軒、一つ星が117軒と合計191軒にもなる。機会があれば話の種に行ってみたいとは思うが、日本の食をめぐる状況を考えると、「美食」などと浮かれている場合ではないような気がする。
日本の食糧自給率は39%と40%を割ったが、これは先進国の中で最も低いほか、穀物自給率については175の国・地域の中で124番目と世界的にも低い水準にある。
我々の日々の食生活は輸入に頼っているというのが実態であり、畜産・酪農における飼料についても75%が輸入品である。
しかし、オーストラリアの干ばつ、中国・インドなどの大国が経済発展・人口増加を背景として食糧を輸入し始めたり、アメリカ・ブラジルなどを中心としてバイオエタノール用の作物への転用が増加している等のため、食糧需給が逼迫して価格が高騰してきている。
これらのことから、食糧の6割以上を海外に依存している日本では、最悪の場合、最低限必要な食料さえ手に入れることができなくなる可能性がある。
農水省では、自給率が45%になった場合に、国産品のみで食事していくことを仮定した場合の参考メニューを公表しており、これによると毎日食べることができるのは、イモ類と米及び若干の魚や野菜・果物のみである。しかも、これは現在より自給率が6%も向上した場合を想定してのことである。従って、いつまでも「美食の都」であり続けられるというのは幻想かもしれない。
一方で廃棄される食料も大量でコンビニ・スーパー等の期限切れ食品の廃棄は60万トンともいわれ、一日の摂取量を500グラムとすると300万人分の食料にもなる。
本当にもったいない話だ。
最近の中国の毒入りギョウザは、日本の食料輸入に対する神からの警告のように思えてならない。
これを機会に、日本も食料の自給をしっかり考えて、いまこそ北海道農業の革新を図るいい機会にしていかなければならない。