コンパクトシティ-

先日、青森市でまちづくり運動を展開しているK氏のお話を聞く機会があった。「コンパクトシティ中心市街地の活性化」についてである。
平成16年に中小企業庁は「これからの都市像はコンパクトシティである。」と明言し、青森市は全国に先駆けてその構想を打ち出し、そのモデル都市としてつとに有名で、視察者が引きも切らないとのことである。
青森市は駅前の再開発事業として「アウガ」を建設し、地下1Fに生鮮海産物の店舗、1F〜4Fは専門店街、5F〜9Fまでは市の公共施設を配置し、中でも図書館も移転して誰でも気軽に訪れるようになり、活況をていしているとのことである。また、その隣には、老人向けのマンションも建築し完売したとのことだ。
そもそもコンパクトシティとは何かというと、都市の中心部に住居、商店街、公共施設、病院などさまざまな機能を集約し、そこに居れば、ほとんどの用事が足りるような暮らしやすいまちということである。
なぜ、今コンパクトシティなのか?
全国の地方都市で抱える中心市街地はシャッター街と揶揄されるように、市街地の空洞化が進行し、都市機能の活力が低下している。その理由は、中心市街地の地価が高騰してきて、郊外に住居を求めたほうが暮らしやすいとか、モータリゼーションの進行により広い駐車場の併設を求めて大型店が郊外へ進出し、中心市街地は地盤沈下してしまったわけである。しかし、空洞化は瞬時に起こったわけではなく、ここ30年程前から徐々に進行してきているのであり、もっと早くに対策を打つべきことであったはずなのに、手をこまねいてきたのは、行政はじめ商店街の怠慢であると喝破した。
また、中小企業の商店主は数字のこともわからないで経営しているとも。回転率、損益分岐点売上、坪当たり単価等も知らないで経営ができるわけないし、経営していてもおもしろくないのではないかという。確かに、仕事はゲーム感覚でやるともっとおもしろくなるわけであり、こういう対策を打ったら、回転率が上がったとか、損益分岐点が下がったとか、ゲーム感覚で数字を把握すれば、経営というのはもっとおもしろくなるということを、経営者にお伝えするのが我々の使命だなと改めて思った次第である。

そもそもコンパクトシティの発想の原点は、除雪費用の膨張に歯止めをかけるための試行錯誤の結果だと聞く。除雪費が毎年増加していき、前年と変わらない降雪量にもかかわらず、除雪費用は確実に増えていくというのである。しかし、その理由はしごく簡単である。毎年市街地が拡大し、その分除雪費用は増加していくのである。市街地の拡大は除雪費用だけでなく、道路、上下水道等のインフラ整備に莫大な経費がかかるわけで、それならいっそのこと、中心部にコンパクト都市を作った方がインフラ整備のコストダウンができて、なおかつ活気のある都市を構築できるのではないかといった、極めて単純な発想が原点であった。
K氏が言っていたことで心に残ったことは、このまちを「どういうまちにしたいのか」という明確なビジョンと、規模に関係なくやる気があるかないかでまちづくりは決定されるという点である。
これは何もまちづくりだけではなく、人生や会社経営にもあてはまることで、明確なビジョンと、できるまでやる継続が何にもまして重要なことだということを再認識させられた。