人口千人あたりの病床数は先進国で最多にもかかわらず、日本の医療は逼迫し、ワクチン接種も先進国の中で最下位レベルにとどまっています。コロナが世界を襲ってから1年経過するにもかかわらず、このような状況であることは、日本の医療体制、そして、国家体制に何らかの欠陥があるといわざるを得ません。
すなわち、それは、平時を前提にした体制しかなく、今回のコロナ禍のような準有事になってもスイッチを切り替えられなかったということもいえるかもしれません。
そして、医療体制については、重症者、軽症者等の症状別に役割分担を徹底して医療の逼迫を早期に解消し、必要な時に必要な治療を受けられる体制を整備する必要があります。
それではどこを変えればよいのか。先日の新聞報道によりますと日本の体制には、少なくとも次の3つの欠点があるということが指摘されていました。
第1は、戦略の優先順位をはっきりさせず、泥縄式に対応してしまう体質です。一体、何を目指して、どうゴールするのかがはっきりわからない。いわゆるリーダーシップの欠如です。
感染初期では、緊急事態宣言を発出しているのにもかかわらず、「Go To トラベル」を推進したりと、ちぐはぐな動きをした時期もありました。
第2は、縦割り組織の弊害。省庁間や中央と自治体との連携不足で対策の実行に遅れが出ています。コロナ対策本部のような横断的な組織をいち早く構築して、縦割り組織の弊害をなくすべきと考えます。そして、これは日本人の思考にも由来するのかもしれません。すなわち、「自分だけ良ければいい」というような思考ではなく、「利他主義」を徹底する必要があると思います。
そして、第3は「何とかなる」という根拠なき楽観思考。プラス思考はいいと思いますが、パンデミックの襲来が早くから予想されていたにもかかわらず、医療体制の整備やや保健所の対応等について、準有事であるにもかかわらず、平時のままの思考で、体制整備が遅れてしまいました。
今後は、これらの反省点を活かして、様々な知恵を駆使してこの難局を乗り越えていかなければならないと思います。