税理士試験制度改革について

平成13年に税理士法が改正されて7年が経過した。税理士会では平成23年税理士法改正に向けて準備が進められている。最大の懸案は税理士試験制度改革である。

税理士試験は簿記論、財務諸表論の会計科目2科目と法人税法所得税法の選択必修を含む税法科目3科目の合計5科目で最終合格となる。
ところが、一般試験ルート以外に、弁護士・公認会計士には一般試験を受けることなく資格が付与され、また、一定の税務職員については指定研修と修了試験の合格をもって税理士資格が付与される。
 近年、社会経済の多様化・複雑化に対し、税理士に求められる社会からの要請はますます高度化してきている。税理士資格を有するものの抜本的な見直しは昭和26年の税理士法が制定されて以来行われていない。社会から要請される程度の資質をもった税理士を育成するためにも資格付与制度の見直しをする時期に来ているのではないだろうか。
昭和26年当時の要請としては資格者を早急に増員させるために、例外を制定したものと考えられる。もうそろそろ例外措置は除外すべき時期に来ているように思う。

 税理士会のタタキ台においては、税理士資格を取得しようとするものは、一切の例外なく最低1科目の税理士試験を受験することを求めている。
 従って、弁護士は税法科目は免除としても、会計科目1科目の合格を資格付与の要件とする。
 また、公認会計士は会計科目は免除としても、税法科目1科目の合格を資格付与の要件とする。
 そして、一定の税務官公署職員は、税法科目は免除としても、会計科目1科目の合格を資格付与の要件としてはどうかという要望をする予定のようである。
 また、税理士試験科目の選択科目に法律学科目(憲法民法会社法民事訴訟法)を選択科目として1科目追加すること。
さらに、税理士試験は税理士としての資質を問うための試験に改める事を要望している。現在の試験は、インプットした知識を制限時間内にいかに正確にアウトプットかという試験になっているような気がする。ただ単に暗記能力を試すための試験から、条文を持ち込みOKの考えさせる試験にしていく必要があると思う。その点、新司法試験の租税法の試験に見習うべきものがあるように思う。

 納税者は一度顧問の先生に依頼すると、よっぽどの事がない限り税理士は変更しない。なぜなら納税者側で税理士の能力を判断するのは難しいのと、新しい税理士に依頼するとなるとまた一から関係を築かなければならないという煩わしさが伴うからだ。
 病院のドクターについては、世間の評判で多少判断が可能だし、セカンドオピニオン制度も機能しつつある。
 
 そんな中で、納税者に不測の損害を与えないような税理士としての質的向上策が一層望まれる。